『中央防波堤埋立地』〜住民ゼロ・コンビニゼロ・自販機ゼロ・トイレゼロ!東京湾に浮かぶ謎の埋立地に上陸してみた〜

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中央防波堤埋立地。

お台場のさらに奥。東京湾に浮かぶやけに形の整った埋立地、中央防波堤埋立地。名前から推測するに「防波堤」が絡んでいることは間違いなさそうである。「中央防波堤」は東京湾の防波堤としてお台場の沖合に建設された。直近2記事は「東京ゴミ戦争」について触れたが、今回の中央防波堤にも「ゴミ」が絡んでいる。中央防波堤を南北に挟むような形で海面が埋め立てられているのだが、その海面埋め立てに使われているのが「ゴミ」である。もちろん、東京ゴミ戦争中のようにゴミをそのまま埋め立てているわけではない。東京ゴミ戦争当時に引き起こされた公害問題などの悲惨な歴史が繰り返されぬよう工夫が施されている。

地図中、左斜め上側が「内側埋立地」右斜め下側が「外側埋立地」。

上陸編①

そもそも論だが、港関係者の方や清掃業関係の方以外で中央防波堤埋立地に行こうと思い立つ人はレアな人種だ。中央防波堤にアクセスするには、私を含め、一般人は自動車か都営バスしかない。埋立地には東京都環境局の事務所があるため、通勤時間帯には都営バスの本数もそれなりに増えるが、それ以外の時間帯では1時間に1、2本。東京では史上稀に見るアクセスの良さ☆ 自動車で行ったとしても駐車場もゼロ。ただ通過するだけ。謎すぎる。一応東京。筆者自身、免許、持ってないので都営バスを利用した。しかしながら、中央防波堤埋立地。交番もなければ警官も居なかった。「ワンチャン」という言葉を使うに最適だ。

上陸編②

都営バスを利用したが、お台場方面から上陸することになる。りんかい線の東京テレポート駅前、もしくはゆりかもめのテレコムセンター駅前からバスに乗り込む。

お台場。キラキラリア充で溢れている。
中央防波堤埋立地には一般人用のトイレはない。バス停付近にファミマがあるのでお借りしておくべきかも…

中央防波堤埋立地にはトイレがない。コンビニもない。自販機もない。中央防波堤に行く方は、トイレを済ませて、飲み物を買っておくことをおすすめする。

中央防波堤埋立地には海底トンネルを通って行く。

15時頃のバスに乗って上陸したが、乗客は私を含めて3人。1人はおそらく港関係者の方。コンテナの集合地で消えていった。もう1人は東京都環境局の方っぽかった。

探検編①

海底トンネルを抜ければすぐにバス停に着く。まず最初の感想は空がえげつなく広い。恐らく都内に限れば上位に入る広さ。埋め立ての人工島ならではの特徴なのかもしれない。

バスを除いて車ゼロ・人ゼロ。なんと信号機もない。
羽田空港がすぐ近く。飛行機がかなり大きく見える。

探検編②

圧縮されたペットボトルが大量に積まれていた。

まずは中央防波堤埋立地の北側、お台場よりのエリアを散策した。こちら側のエリアは「中央防波堤内側埋立地」と呼ばれている。中央防波堤内側埋立地の東側には海の森公園が整備中。2020年の東京オリンピックでも利用されるはずだったそう。「『海』の『森』」とかいう地名…パラドックスを極めている。「海?それとも、山?」と迷った時のベストアンサーに違いない。

中央防波堤内側埋立地の北側は埠頭。コンテナが多い。知った企業のコンテナも多数。

そんな海の森公園、地下には大量のゴミ。ゴミと土をサンドイッチのように重ねて積み上げた土地。東京23区ではもっとも大きい公園らしいが、アクセスが最悪なことを忘れてはならない。

海の森公園。まだ一般人は入れない。
海の森公園の向かいにはゴミ処理施設がある。
少々生ゴミ臭いと感じる箇所もあった。

探検編③

内側埋立地で一般人が徒歩で立ち入れる箇所は見尽くした。次に中央防波堤の「外側埋立地」にも足を運んでみる。内側埋立地と外側埋立地は2つの橋で繋がれている。現時点で徒歩で渡れるのは西側の「中防大橋」のみ。東側の「海の森大橋」は車のみ。一般人が徒歩で渡ることなど、まず想定されていない。

内側埋立地側から臨む外側埋立地。写真左奥に見えるのが「東京ゲートブリッジ」

写真左奥に見える「東京ゲートブリッジ」だが、簡潔にいうと無能。外側埋立地と若洲方面を繋いでいる。車、徒歩どちらも通行が可能だが、徒歩の場合には外側埋立地側に降りることができないとかいうハイパー無能っぷり。しかし形がイケてるので許容。

探検編④

内側埋立地と外側埋立地を結び、徒歩で渡れる唯一の橋、「中防大橋」

外側埋立地にも大きなコンテナターミナルが広がっている。それ故、中防大橋は大量のコンテナを運ぶトラックが行き交う。

中防大橋からの景色。

橋を渡り切ると、残念ながらこの先立ち入り禁止の看板。遂に橋から続いていた歩道もガードレールに囲まれ、行き止まりの様子。これより奥に進むには関係者になるしか方法はなさそうだ。

ガードレールで道は閉じられていた。

おわりに。

今回上陸してみた「中央防波堤埋立地」。長年の間、帰属問題が争われていたらしい。江東区と大田区が土地の帰属を争っていたが2019年には判決が出て帰属問題は解決。江東区側に約8割。大田区側に約2割という形で決着が着いた。東京都では現在「中央防波堤外側埋立地」のさらに南側にて海面埋め立てを行っている。言い換えれば、さらに海面方向に向けて土地が拡大していることになる。「深海面処分場」と呼ばれるこの土地の帰属は未だ決まっていない。将来的には、現在のお台場のような街に発展させることを都はイメージしているそうだが、実際のところどうなるのだろう。個人的には鉄道を通さないことにはお台場のような賑わいは現実的でないように思うのだが、地盤がゴミと土の土地に地下鉄は難しいのかもしれない。とにかく、「中央防波堤埋立地」と「深海面処分場」の今後を追うことができる世代に生まれたことに少し感謝の気持ちが芽生えた。

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